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なぜ僕が2000枚以上の写真を納品するのか。海外挙式と日本のウェディングのちがいを徹底解説

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ウェディングって、ドキュメンタリーだと思う。

そういう意味では、カメラマンは、ジャーナリストに近い。



いったい、どういうことなのか。丁寧に説明させてほしい。

ヨーロッパを拠点にするフォトグラファーが

日本と欧米の結婚式の違いも含めてお話するので

長くはなるが、興味がある方はぜひ最後まで読んでほしい。







最近、日本人の新婦さまと、ドイツ人の新郎さまの挙式撮影をお願いしていただいた。

僕の仕事は、新婦さまのヘア、メイク、そして挙式から披露宴までの撮影である。

こちらの新婦さま、

打ち合わせの時の印象は、静かで、控えめな方だった。

ヘア、メイクのご指示も、基本的にはお任せいただくという形。



ところで、ご存知の方もいると思うが、日本で挙式会場を決めたら、全部やってくれる

というのシステムは、世界的に見て、とても珍しい。

価格の不透明さと、自由度が低く、何をするにも持ち込み料がかかる

という日本のやり方が、僕は好きではない。

一方で、海外での挙式は、プランナーに頼らず、すべて自分で行う。

今回も、会場から借りられたのはテーブルクロスのみだったという。



挙式会場の設営から、テーブルのお花、カード、カメラマン、ヘアメイク、ドレス、ブーケ、ウェディングケーキの手配、イベント。



すべて個別に自分でコンタクトをとり、見積もりをもらい、準備する。

自由度が高いとも言えるが、新郎新婦の準備にかかる労力は半端ではない。

当日の朝の新婦さまは、程よい緊張と、準備に追われた疲れ、そしてこれから始まる1日への期待が同居していた。


せめて、ヘアメイクをしながら少しでも緊張をといてもらおうと思った。



しかし、式が始まってからの彼女は、打ち合わせの時の印象とは、まったく異なっていた。

てきぱきとした進行、ゲストへの挨拶、スタッフへの気配り。

そして、ビンゴやクイズなどのイベントで、率先して場を盛り上げていた。






日本のように、司会などはいないのだ。ビンゴの紙も、クイズも動画も、すべて手作りだ。



また、ドイツ人と日本人のゲストが、言葉の壁を超えて楽しめるようなオリジナルのビンゴ、クイズだった。




海外のAfter Party は深夜まで続くのが普通だ。

AM3時になっても踊っている、というのはよくある話。

僕は、契約の時間を撮りきると、お言葉に甘えて、お酒をいただいた。

ご家族やゲストの方ともおしゃべりをし、あっという間に0時だった。




そろそろお開きというころだ。

僕は、何か美しいものを見た気がして、夢中でシャッターをきっていた。

そこには

みんなが、良い気持ちで帰路につく中

お酒も飲まずに

忘れ物がないか、ひとつひとつ丁寧に席をまわってゆく、新婦の姿だった。



絵画のようだと思った。

この1枚に、新婦さまのお人柄の、すべてが詰まっている気がした。











ここで、表題の件に戻る。

なぜ僕が、2000枚もの写真を納品するのか。

写真に自信がない、という人がいるかもしれない。

もちろん、ちがう。



200枚に絞ろうと思えば、絞れる。

自信がない、という言葉を使うならば、こうだ。

必ずしも、僕が良いと思った写真を、お客さまが好きとは限らない。

その自信がない。



だから、僕は目をつむっているものなど以外、基本的にすべて納品する。

今回も、幸せそうなお二人の笑顔の写真や、ドイツの湖のほとりでのお二人など、

ウェディングとして素敵な写真はたくさん撮れた。

しかし、僕が気に入ったのは、この写真だった。

新婦さまは、なぜこんな片付けのシーンを送ってきたのだろうと首を傾げているかもしれない。



だから僕は、なるべくたくさんの写真を納品する。

AIが作ったような、レタッチしまくりの写真は、あまり好きではない。

そういうのが好きな方は、僕のところには来ない。



−−−



感動を演出する、というのは、切り抜き動画みたいなものだ。

感動が生まれた瞬間を、見逃さず記録する、というウェディングフォトグラファーは


ジャーナリストに近いのかもしれない。

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